心と体が満たされるセックス

ネコタイプは、理性がほどけていくプロセスそのものを愉しむ。

服の上から、まだ“許されていない場所”をそっとなぞるように触れられた瞬間――触れていないはずなのに、相手の指先の熱がじわりと布越しに伝わってくる。

「触れたいのに触れられない」その緊張と期待のあいだで立ち上がる官能。相手がこちらの呼吸ひとつ、肩の震えひとつを逃さず拾い、様子をうかがいながら少しずつ距離を詰めてくる。

じらされるほど、ひとつひとつの感覚が研ぎ澄まされていき、思考は静かに薄れ、“身体の中心だけが生きている”ような集中が生まれる。

そして――ネコタイプがいちばん深く満たされるのは、“深く入ってくるその感触” を全身で受け止めている瞬間。

入り口をゆっくり押し広げていく圧、奥に届くたび中心がじわっと震える感覚、わずかに角度が変わるだけで流れ方が変わる快感の波。

そのひとつひとつに意識が吸い寄せられていく。

相手が動くたび、奥の膜が微かにきゅっと応える。その“奥で返事をしている感覚”が、ネコの本能に最も深く響く。

深さ、動き、呼吸――そのすべてが静かに重なったとき、ネコタイプは本能の奥で満たされ、言葉のいらない官能の対話が始まる。

 嫌がるセックス

「まずはお風呂ね」と言わんばかりの段取り口調。丁寧に見えて、その実、流れがすべて相手の頭の中で決まっている。その時点で、胸の奥で小さな違和感が灯る。

肌を合わせても、こちらの呼吸には目もくれず、“見せるような”キスや動作を淡々と繰り返す。どこかナルシスティックな空気。触れられているのに――そこに温度がない。

こちらの反応を拾わないまま押し進める瞬間、体の奥がすっと固まる。

“深く入りたい”“触れたい”というより、“俺のセックスを見てほしい”という空気が漂う。

その瞬間、ネコタイプの心は静かに冷える。

呼吸も、波も、奥で返事をする感覚もなく――ただ何かが一方的に進んでいるだけ。

ネコにとってのセックスは、深い場所で静かに触れ合う“対話”のようなもの。その対話を無視し、段取りや見せ方だけで進むセックスは、言葉を遮られるのと同じ痛みを残す。

その場にいるのに、“いないように扱われる感覚”。

それこそが、ネコタイプが最も深く嫌うセックス。ことは、言葉を遮られるのと同じ。触れられても、そこに共鳴がなければ、快感は訪れない。